予防接種を受けるお子さんのご両親へ

小児科医の言い訳とお願い

私と赤ちゃんのご家族とは、初回の予防接種の時が初対面ということは多いものです。生後2か月から予防接種が始まりますが、その頃までにはまだ病気はめずらしいですからね。

この予防接種が大変です。
なによりまず「間違わずに打つ」ということにとても神経を使います。同時接種の時代になって、ひとりひとり、その日に受ける予防接種の内容が異なります。これを間違って健康被害を受けた子は見たことがありませんが、それでも絶対に間違わないようにしなければなりません。そこに集中して用意して実行します。その上、同じ種類の予防接種は、できればくり返し同じ腕にしない方が良いとされています。前回、左にAとB、右にCとDという注射をしたなら、次の時は逆にしてあげたいものです。それに、同じ側に打たない方が良い予防接種も発表されています。AとCという組み合わせを同じ方に打たない方が良いのです。もうこうなると、複雑な組み合わせになり、間違わないのに必死です。それに予防接種に関係する法律はどんどん変わります。愛想を振りまいている余裕はありません。

ロタウイルスのワクチンは飲むワクチンです。2回または3回飲みますが、途中で吹き出せばそれは無駄になります。赤ちゃんが吹き出さないように努力しています。それには、ワクチンが喉の奥に行くまで、口を閉じさせないようにするという事です。赤ちゃんの下あごをおさえたり、歯茎の間に指を入れたりして、口が閉じないようにします。飲ませている途中で泣いてくれると息継ぎの時に飲み込むので、上手に飲んでくれます。泣いてくれていたら「ラッキー」と思うこともあります。ほんの30秒ほどの間ですが、確実に飲んでもらうように、頑張っているのです。

このように、ひょっとして、予防接種の時間は、私はご家族に対してそっけないかもしれません。やり方がベルトコンベア式に見えるかもしれません。そんなふうに見えたら申し訳ありません。自分では、全神経を赤ちゃんの安全と間違い防止に集中しているのです。私が、いつもむっつり黙っている、そんなキャラでは無いことは、診察を受けに来てくださっている方ならご存じですね。予防接種を受けに来たご家族にも、だんだんとわかっていただければ幸いです。

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